藤井 健仁 近況

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麿 赤兒さんの記事

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日本経済新聞・夕刊『こころの玉手箱』

2011年1月14日付 本文& 紹介文


<“縄文人”から想像力刺激>


美術は全般的に好きだが、収集家というわけではない。そんな僕が、珍しく気に入って購入したのが、この、藤井健仁さんの鉄を使った彫刻である。



勝手に「ムー」と名付けている。ムー大陸のように、太古の時代に、ひょっとするとあったかもしれない不思議な生き物のように感じるからだ。原子の人、縄文人、とも思える。ムーを眺めていると、いろいろな想念がわいてくる。原始というより、近未来の人のように見える時もある。



6年くらい前、飲み屋で写真家の荒木経惟さんに、藤井さんを紹介されたのだった。展覧会などを見て、気に入った。珍しく、作品をそばに置いておきたいと思った。



藤井さんは愛知県に住んでいる。その作品には、政治家など有名人の顔をかたどった「鉄面皮」のシリーズもあり、ムーのような作品がすべてではない。でも僕は、この不思議な生物のシリーズが好みだ。ムーのほかにも、少女像2体を持っている。1体はセーラー服を着ていて、これはビクトリア、もう1体は水着で、マリアと呼んでいる。



少女の彫刻は、世界を斜めから見ているような、近代的な屈折を持った人間のように見える。でもムーは、もっと無邪気な感じだ。否、ちょっとは邪気を抱いているかも。水木しげるさんではないが、妖怪のようにも思える。というより両生類か?陸と水の際のあたりに暮らしていそうだな。このように、ムーにはいつも想像力を刺激される。僕の舞踏も、古代の人、原始の人間への遡及を目指して創ることが多いから、時間を超えた存在と感じるムーと波長が合うかもしれない。



普段は自宅の棚にちょこんと置いているムーに、時折話しかける。「お前、何考えてるの?」。ムーは「ただ、ト、ト、ト、と歩いているのです」と答える。「これからどうする?どこかに身売りでもする?」「嫌です」。不気味な光景かもしれないが、そんな対話の中から創作のヒントを得ることもあるのだ。


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まろ・あかじ 1943年生まれ。奈良県出身。劇団「状況劇場」を経て72年に「大駱駝艦」を設立。舞踏の先駆的団体として国内外で評価される。3月17日~21日に東京・瀬田がyパブリックシアターで新作公演。俳優としても活躍する。 



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by fujiibph | 2014-10-29 17:24